[蒸留所]ラフロイグ

基本情報

  • 蒸留所名(J):ラフロイグ
  • 蒸留所名(E):Laphroaig
  • オーナー:ビームサントリー/D.ジョンストン(D Johnston & Company)
  • 地域:スコットランド/アイラ/キルダルトン(Kildalton)
    近隣のアードベッグ・ラガヴーリンとともに「キルダントン3兄弟」とも言われています。
  • 生産ウイスキー:モルト
  • 由来:ゲール語で「広い湾のそばの美しい窪地」
  • 仕込み水:

「You either love it or hate it.」と言われるほどの強いピート香が特徴で、「アイラモルトの王」の異名を持ち、アイラモルトの中で一番売れており、世界中にファンも多く、その1人のチャールズ皇太子により、1994年に蒸留所は王室御用達に指定されています。

歴史

1810年頃にアイラ島に移り住んだジョンソン兄弟が、1000エーカーの農地を買い畜産業の傍ら栽培する大麦の一部でウイスキーの蒸留を始めたのが蒸留所のはじまりとなります。このウイスキーが評判になると、1815年に畜産業を畳みラフロイグ蒸留所を創業しました。

イアン・ハンター(Ian Hunter)

1921-1954年の間にオーナーを努めたイアン・ハンターは、創業者であるジョンソン家系最後のオーナーであり、当時ピーター・マッキーとの長年の裁判により疲労していたラフロイグ蒸留所を建て直した人物です。
彼は、米国禁酒法時代のアメリカに「ラフロイグは薬品の香りがする」として薬用酒としての輸入を認めさせたり、バーボン樽での熟成を導入するなどの功績を残しています。
蒸留所近辺に記者を寄せ付けなかったほどの厳格な秘密主義者だったそうですが、ベッシー・ウィリアムソン(Bessie Williamson)には全幅の信頼を寄せ、遺言により蒸留所の全てを彼女に相続させました。

製法の特徴・こぼれ話

  • 床の上で大麦を発芽させる伝統的なフロアモルティング(床式製麦)を行なっています。現在このフロアモルティングを行なっているのはラフロイグやボウモアなど6蒸留所のみです。
    モルティングフロアは4つあり、蒸留所で使用するモルトの約15%を生産しています。残す85%はポートエレンやスコットランド本土から仕入れた35~45ppmのモルトを使用しています。
    発芽が終了した大麦は乾燥塔の中で乾燥には30時間を乾燥されます。最初の12時間は自社の湿原で掘り出した専用ピートをゆっくり燻す事でピート香を強く付けています。
  • シングルモルト用にはバーボンの後のファーストフィルだけを使い、強いピート香の中に適度のバニラ香・クリーミーさといった優しさが与えられます。
  • 製麦工場からピート炉までの10mほどを運搬列車が走っていて、アイラ島唯一の「鉄道」と呼ばれています。
  • ピートの強さは麦芽に付着したフェノール化合物の濃度で表されますが、ラフロイグではその濃度が40~60ppm以上(ヘビーピートと言われます)、ピートが強いと言われるボウモアでも30ppm前後とのことなので圧倒的です。
  • 1994年に結成された「フレンズ・オブ・ラフロイグ(FOL)」の登録者数は約70万人で、入会するとウイスキーの優先購入権や限定ボトル購入権などの特典がもらえます。また毎年1杯分のラフロイグを賃貸料として、蒸留所が所有する土地1平方フィート分の借地権を生涯にわたって手に入れられます。
    4時間半に及ぶラフロイグ蒸留所の見学ツアーは「WATER TO WHISKY EXPERIENCE」と呼ばれ、ラフロイグのすべてが体験できる人気ツアーといわれています。蒸留所が使用する水源まで散策し、原料水で割ったウイスキーを1杯いただきます。その後ピート切り出し体験や、蒸留所でフロアモルティングを体験、キルン点検なども味わえます。ガイドのマンツーマンによる施設見学では、麦芽汁やウォッシュの試飲もあります。最後の試飲会も1時間以上時間が割かれ、貯蔵庫の樽からさまざまな種類のラフロイグを試飲できます。