アイリッシュウイスキーの歴史・製法

アイルランド及び北アイルランドで生産されるウイスキーの総称です。

ウイスキー発祥の地と言われているアイルランドでは、スコッチよりも大きい単式蒸留器で3回蒸留しており、クセがなくまろやかな味わいで初心者でも飲みやすいのが特徴。

アイリッシュウイスキーの歴史

18世紀には2,000前後の蒸留所が存在していたと言われている。その後蒸留所の合併・統合が行なわたものの、1880年時点でも28の蒸留所が稼働していた記録がある。

20世紀初頭のアイリッシュウイスキーは荒々しいシングルモルトウイスキーで、世界のウイスキー市場の6割を占めていたが、米国で禁酒法が施行されたことにより輸出量が縮小。これにより米国内ではアイリッシュウイスキーと謳った粗悪な密造酒が販売されていたこともあり、アイリッシュウイスキー自体の評判も低下。
更にアイルランド内戦など様々な外的環境が重なり、多くの蒸留所が閉鎖に追い込まれた。

1950年代にアイリッシュコーヒーブームが起きたものの依然として厳しい状況が続いていたため、1966年にアイルランド南部にあったコーク社、ジェムソン社、パワーズ社の3社が合併、コーク・ディスティラリーズ・カンパニーが誕生し、実業家ケヴィン・マコート(Kevin McCourt)のもと各社蒸留所の統合を進めることとなった。
これによりジェムソン(旧ミドルトン)とパワーズの蒸留所は閉鎖され、広大な敷地と豊富で良質の水に恵まれている旧ミドルトン蒸留所の背後に新蒸留所が建設・稼動開始された。
1971年にはブッシュミルズも加わり、アイリッシュ・ディスティラーズ社(IDL)が誕生。

1991年には2メーカー・3蒸留所まで減少したが、昨今の世界的なウイスキーブームにより2020年時点では40ヶ所以上の蒸留所が稼働していると言われている。

アイリッシュウイスキーの一般的な製法

伝統的な製法として一般的に3回蒸留が行われている。
熟成期間は最低3年と定められているが、スコッチに比べ全体的に熟成期間は短くピートも使用しないため、ライトボディで風味が軽くてまろやかな味わいで飲みやすい味わいが特徴。

昔はモルティングした大麦とモルティングしていない大麦の両方を原料としたピュアポットスチルウイスキーが主流だったが、現在はブレンデッドウイスキーが主流。

呼称 原料 蒸留器
ピュアポットスチルウイスキー 大麦麦芽、大麦、小麦、オート麦、ライ麦等 単式蒸留器
モルトウイスキー 大麦麦芽のみ
グレーンウイスキー 大麦麦芽、トウモロコシ、小麦、大麦等 連続式蒸留器