[蒸留所]グレンフィディック

基本情報

  • 蒸留所名(J):グレンフィディック
  • 蒸留所名(E):Glenfiddich
  • オーナー:ウィリアム・グラント&サンズ
  • 地域:スコットランド/スペイサイド/ダフタウン
  • 生産ウイスキー:モルト
  • 由来:ゲール語で「鹿の谷」
  • 仕込み水:ロビーデューの泉
    操業当初に予め1,200エーカー(500万平米弱)もの水源地を買い上げていたため、蒸留所が拡大した現在でも水源を確保できています。

世界で販売されているシングルモルトウイスキーの1/3はグレンフィディックと言われているほど、世界で最も飲まれているシングルモルト蒸留所です。

1963年に世界で初めてシングルモルトウイスキーを発売したパイオニアでもあります。

歴史

創業者のウィリアム・グラント(William Grant)は、モートラック蒸留所で働いていましたが、1886年にカーデュ蒸留所の設備(粉砕機・水車・ポットスチル)が売りに出されたのをきっかけにモートラックを退職し、自らの蒸留所の建設に着手しました。
当初は資金難のため、蒸留所建設には9人子ども総出で取り組み、1887年の12月25日の朝、待望のモルトウイスキーが誕生します。建設費用は後に彼が建設したバルヴェニー蒸留所のわずか1/3ほどだったそうで、当時の石積みの建物は現在も現役で使用されています。

1963年に世界で初めてシングルモルトウイスキーを発売ましたが、グレーンに比べ癖の強いモルトウイスキーは、それまでブレンド用の原酒として流通されていたため、「ストレートモルト」という名で発売した当初は周囲から驚きと失笑を買ったそうです。

1969年にはスコットランド初のビジターセンターも設立しています。

創業以来、ウィリアム・グラント&サンズがオーナーの独立した家族経営の蒸留所で、化粧箱には「INDEPENDSENT FAMILY DISTILLERS」と独立した家族経営の蒸留所であること、シングルモルトウイスキーのパイオニアであることが明記されています。

製法の特徴・こぼれ話

  • 容量10tのマッシュタンが2槽あり24時間稼働しています。ここで抽出された大麦麦芽の糖分をウォッシュバックと呼ばれる約5m程の伝統的な木製の発酵樽×24基で発酵しています。醗酵時間は80時間と長時間です。
  • 初溜釜は9kl(13基)、再溜釜は4.5kl(15基)といずれも小型ですが、28基のスチル保有はスコットランド最多で、創業当初のものと同じ形・サイズの銅製蒸留釜を使用して伝統の品質を守っています。
  • 加熱はガスによる直火加熱法を採用し、複雑ながらもしっかりした風味を与えています。
  • 蒸留所内に樽職人(クーパレッジ)や銅器職人を設置することで品質を維持しています。
  • 熟成の終わった様々な原酒を約30樽分入る大きなオーク材の後熟樽で最低9ヶ月間なじませることで、品質を一定に維持する工夫を行なっています。
  • 特徴的な三角形のボトルは、1961年にデザイナーのハンス・スフレーヘル(Hans Schleger)によって考案されました。ウイスキーに欠かせない大切な三つの要素の「火」「水」「土」を表しているそうです。
  • 蒸留所内に瓶詰施設も併設されています。