アメリカンウイスキーの歴史
米国禁酒法時代など不遇の時代がありましたが1950年代から復興を遂げている。
現在はトウモロコシを原料として連続式蒸留器で蒸留したバーボンウイスキーが主流だが、初期のアメリカンウイスキーはライウイスキーであったと言われており、初代大統領のジョージ・ワシントンも若い頃にライウイスキーを製造販売していた。
近年ではクラフトウイスキーの人気もあり、2000近くもの蒸留所がある。
アメリカンウイスキーの定義・製法
広大な国土ゆえに様々な穀物を原料としたウイスキーが作られていて、合衆国の連邦規則集でも以下のように細かく定義されている。(アメリカから輸出される蒸留酒については適用外)
- 穀物が原料で、
- アルコール度数が95%未満で蒸留した後、
- 熟成前の樽詰めの段階でアルコール度数が62.5%以下で、
- オーク樽で熟成させたもの(コーンウイスキーは熟成は不要)、
- もしくは上記にスピリッツをブレンドしたもので、
- アルコール度数40%以上で瓶詰めしたもの
更に、アメリカンウイスキーの中でも主原料や製法の違いによって以下の種類に分類される。
バーボンウイスキー
合衆国発足の1789年、エライジャ・クレイグ牧師によって作られ始めたのが最初といわれている。
かつてはケンタッキー州バーボン郡で生産されたコーンウイスキーのみを指していたが、現在アメリカ国内で消費・宣伝されるバーボンウイスキーは以下の要件を満たしている必要がある。(米国外での定義は国によって異なりますが、多くは以下に準拠)
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- アメリカ合衆国で製造されていること(ケンタッキー州とは限っていない)
- 原料としてトウモロコシを51%以上使用していること
- アルコール度数80%以下で蒸留されていること
- 内側を焦がしたオークの新樽で熟成すること
- 熟成の樽入れ前のアルコール度数(エントリープルーフ)は62.5%以下であること
- 瓶詰め時のアルコール度数は40%以上であること
- 熟成4年未満の場合ラベルに熟成期間を明記
近年はケンタッキー州以外でつくられたウイスキーも基準を満たしていれば「バーボン」と呼ばれる傾向にあるが、上記を満たし、更にケンタッキー州で生産され、最低1年熟成したウイスキーはケンタッキーバーボンと呼ばれる。
近年では、樽同士のブレンドを行わずに少量を瓶詰めしたシングルバレルバーボンや、数~数十種類の樽をブレンドしたスモールバッチバーボン、ブティックバーボンなど、コンセプトバーボンと呼ばれる新しいスタイルにも注目が集まっている。
他にも原料として使用される穀物により、以下のウイスキーが定義されている。
- ライウイスキー:原料がライ麦51%以上で、内側を焦がしたオーク新樽で熟成。
- ホイートウイスキー:原料が小麦51%以上で、内側を焦がしたオーク新樽で熟成。
- コーンウイスキー:原料がトウモロコシ80%以上で、古いオーク樽または内側を焦がしていないオーク樽で熟成。
- モルトウイスキー:大麦51%以上で、内側を焦がしたオーク新樽で熟成。
アメリカンウイスキーには熟成期間に関する規定はないが、熟成期間が2年を超えて、かつ着色料等の添加物が含まれていない場合はストレートウイスキーと呼ばれ、「ストレートバーボンウイスキー」のように頭に”ストレート”とつけることができる。
ストレートウイスキーに他のウイスキーやスピリッツを混ぜたものをブレンデッドウイスキー(アメリカンブレンデッドウイスキー)と呼ばれる。この場合、ストレートウイスキーの割合が20%以上である必要があります。禁酒法後にカナダで開発されアメリカ市場に広まった。
ブレンデッドウイスキーのうち、ストレートバーボンウイスキーを50%以上含むものをブレンデッドバーボンウイスキーと呼びます。
また、連邦規則集に規定はないものの以下のような分類もある。
テネシーウイスキー
バーボンウイスキーに分類されるもののうち、テネシー州で製造され熟成前にテネシー州産サトウカエデの木炭を用いて濾過したもの。ジャックダニエルが博覧会で金賞を受賞したことをきっかけに広く認知されるようになった。
シングルモルト、シングルライモルト
連邦規則集には”シングル”という用語に関する規定はなく、原材料がモルトのみといったわけではない。(一部、スコッチの定義に倣って名付けている場合もあります)
アメリカンウイスキーでこれらの表示があっても、単に同一蒸留所で作られたモルトウイスキーの条件を満たしているだけという可能性もある。