ウイスキー樽について

ウイスキーの熟成・後熟には欠かせない樽を英語ではカスク/caskといいます。
サイズ・樽材の違いにより、熟成中のスピリッツにそれぞれ異なったフレーバーを付与してくれます。

樽材による分類

樽材料としてはホワイトオークとヨーロピアンオークが主に用いられますが、近年ではミズナラ(ジャパニーズオーク)にも注目が集まっているます。
これらはウイスキーを長期間熟成するのに適した密閉性の高い樽を造ることができるという特徴があります。

アメリカンホワイトオーク・アルバオーク/Quercus Alba
北米で産出される木でアメリカ・スコットランド・日本など多くの国で利用されています。
バーボン業界が使用するカスクのすべてがこのタイプで、シェリー・ワインなどの樽材としても使用されています。ウイスキーの色と香味成分の形成に寄与するポリフェノールを多く含み、バニラ・ココナッツ・甘い香辛料の香りをもたらすのが特徴です。

ヨーロピアンオーク・スパニッシュオーク・コモンオーク/Quercus Robur
スペインのアンダルシア地方ヘレス周辺で作られる強化ワイン・シェリー用の樽材として利用されます。コモンオークはタンニンを多く含み、フルーティーな味わいをもたらします。

セシルオーク/Quercus Petraea
別名:フレンチオーク
以前はコニャック用として使われていましたが、現在スコッチやジャパニーズウイスキーでも使用されています。ホワイトオークとヨーロピアンオークの中間のフレーバーで、タンニン量が多くスパイシーを与えます。

ミズナラ・ジャパニーズオーク/Quercus Mongolica
日本で産出されるホワイトオークの一種です。
戦後日本で樽材が不足した際にサントリーなどが使用したのが最初で、現在は北海道で生育するものが主に利用され、ジャパニーズウイスキーが有名になって以降海外でも採用されるようになりました。
香木を思わせる強い芳香性のアロマをもたらしてくれるからため、希少ながらも人気を集めているオークです。他にもパイナップルやココナッツのアロマが得られる。

樽材の種類

ウイスキーを熟成する前に、どんなお酒を貯蔵していた樽なのかによって熟成されたウイスキーの香りや味わいは大きく左右されます。

新樽
未使用状態の樽を指す。以下の再利用樽に比べて樽材独特の香りがつきやすい。

バーボン樽
バーボンを貯蔵した樽。バーボンウイスキーでは樽の再利用は認められていないため、一度利用した樽はスコットランドに輸出・再利用したり、解体されホグスヘッド樽に作り替えられる。

シェリー樽
シェリーはスペイン南部のヘレス周辺でつくられる白ブドウ酒のことで、シェリー樽で熟成することで、ドライフルーツのような香りと甘さがウイスキーに移り芳醇な個性が備わる。熟成が進み過ぎるとブドウの渋みがウイスキーの味わいに悪影響を及ぼすので、見極めが難しい。
辛口フルボディのオロロソ、深みと甘さを備えたクリーム、力強く濃厚な甘さと芳醇な香りのペドロ・ヒメネスなど様々なタイプがある。

他にもワイン樽やマディラ樽・ブランデー樽などが使われます。

 

カスクのサイズ

一般的に樽サイズが大きいと熟成は遅いがまろやかになり、小さいと熟成は早いがハードで荒くなります。

ゴルダ(700L)
原料:ヨーロピアンオーク
「太っちょ」を意味するスペイン語で、貯蔵用としてスコットランドでは法的に認められた最大サイズのカスクです。以前はシェリー酒の輸送用として作られていましたが、近年はほとんど使用されていません。

マデイラドラム・ポートパイプ(約650L)
原料:フレンチオーク(マデイラドラム)、ヨーロピアンオーク(ポートパイプ)
一般的には二次熟成(フィニッシュ)に使用されるが、最近では長期熟成用として実験的に用いられるようになっています。

シェリーバット/sherry butt(約500L)
原料:ヨーロピアンオーク、アメリカンホワイトオーク
ラテン語で「大きい樽」を意味でシェリー酒の熟成に使用された後にウイスキーメーカーの手に渡ります。

パンチョン/puncheon(480L)
原料:ヨーロピアンオーク、アメリカンホワイトオーク
シェリーバットよりも丈が短く横幅が広くずんぐりとしています。原酒と樽材との接する割合が少ないため、熟成が進みにくい反面、品質を安定できる特徴があり、サントリー使用しています。

ミズナラ/mizunara(約480L)
原料:ミズナラ

ホッグスヘッド/hogshead(約250L)
原料:アメリカンホワイトオーク
豚一頭の重さであることから命名されています。
スコットランドやアイルランドで一般的に利用されるサイズで、バーボンバレルを一度解体し、容量を増やすために樽材を追加し、新しいヘッド(鏡板)を用いて組み上げます。

バリック(約225~300L)
原料:アメリカンホワイトオーク・フレンチオーク
ワイン熟成につくられたカスクです。

バレル/barrel(180~200L)
原料:ホワイトオーク
フランス語の樽/barilが語源と言われています。「ASB」「ヤンキー」などとも呼ばれます。
新樽としてバーボンウイスキーで使用された後、旧樽として他国のウイスキー熟成やラム・テキーラなどのメーカーで再利用されます。小さめサイズなので、樽材の成分が染みこみやすく熟成が進みやすいのが特徴です。

クォーターカスク・ブラッドタブ(約40~50L)
原料:アメリカンホワイトオーク
最小サイズのカスクで別名「ファーキン」とも呼ばれます。
かつては蒸留所のプライベートな顧客用に使用され、現在もブルイックラディがウイスキーを個人所有したいという顧客のためにブラッドタブを使用しています。
また、ビームサントリーがラフロイグやアードモアを短期間でフィニッシュするためにで特注生産しています。→ラフロイグ クォーターカスク

樽作りの職人たち

樽作りを行なう職人をクーパー/Cooperと呼びます。木桶発酵樽の製造・修理も行う場合もあります。

樽作りには樽職人は釘も接着剤も使わず、締め輪/Hoopと呼ばれる鉄製のタガで何十年もウイスキーを密閉する樽をつくります。

木材は乾燥すると収縮する性質があるため、樽に加工してから収縮し隙間を生じさせないよう、木材の乾燥は数年間の自然乾燥によって行われます。
また、乾燥による収縮度の違いから樽に歪みが生じないよう、乾燥が同程度に進んだ木材を使用するようにする。

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