蒸留器について

単式蒸留器

銅製でポットスチル/pot stillとも呼ばれ、主にモルトウイスキーの蒸留に使用されます。アイリッシュでは単式蒸留器で3回蒸留しています。

銅は熱効率がよいだけではなく、発酵されたウォッシュ含まれるチオール化合物という悪臭成分と反応し、蒸留の工程で蒸留液から排除することができます。

単式蒸留機は、「釜」「コンデンサー」「ラインアーム」の3つのパーツからなります。それぞれのパーツの形状や角度などにより、生成される蒸留液の性質の違いをもたらします。
単式蒸留器の容量が大きいほど蒸留液の仕上がりは軽くなりますが、スコットランドでは最小容量が400ガロン(2000L)と定められています。

発酵されたウォッシュは釜で加熱され気化され、パイプを通って冷却器に運ばれ、そこで冷却されて再び液体(蒸留液)となります。

単式蒸留器の加熱方式は、主に以下の方式があります。

直火加熱方式/Open fire distill
ガスや重油を燃やし約1,000℃の直火でゆっくり蒸留する方式。
もろみの一部がトーストされ、キャラメルのような甘い香ばしさを生みだす利点もあり、直火炊きにこだわる蒸留所も存在します。余市蒸留所では世界で唯一石炭直火蒸留が行われています。
釜の底に沈んだ固形物が焦げつきやすいため、ポットスチルの釜の内部にラメジャー/rummagerと呼ばれる攪拌器がついています。

蒸気加熱方式
単式蒸留器内部のパイプに蒸気を通す加熱コイルや加熱缶を置く現在の主流の方式。

外部加熱方式/External heating
加熱を単式蒸留器の外で行った後で中へ戻す方式で、グレンバーギー、ミルトンダフ、グレングラッサなどで採用されています。

釜の上部には「かぶと」と呼ばれる膨らみがあり、この部分の形状により呼び名があります。

ストレート型/Straight still
クビレがほとんどない形状のもの。ネックがまっすぐなため、アルコール以外の成分が多めに残ります。外気に接する面積が小さいため、力強く重厚で複雑な仕上がりになります。

バルジ型/Bulge still
胴体に膨らみがあり、アルコール以外の成分をあまり残さないため、すっきりした仕上がりになります。外気に接する面積が大きいため繊細なウイスキーとなります。

ランタン型/Lanthanum still
ボディからネックにかけて膨らみがあるのが特徴で、外気に接する面積はストレート型とバルジ型の中間です。重たい香りの成分がヘッドの膨張部で還流されて釜に戻るため、軽くて華やかな香りに富んだスッキリとしたモルトが生まれるのが特徴です。

気化した成分がコンデンサー運ばれる前にかぶとの壁に触れて液体となり、釜に戻ってしまうことを分縮といいます。分縮され釜に戻った液体は再び蒸留されることになるため、その分濃度が高くなります。
一般的にかぶとの表面積が大きいほど分縮率が上がり、すっきりと軽い味に仕上がることになります。

ラインアーム/Lyne arm

釜で気化したアルコールは、ラインアームという管を通ってコンデンサーへ運ばれます。ラインパイプとも呼ばれ、ラインアームの中間にピュアリファイアー/Purifierと呼ばれる小さな補助冷却装置が取り付けられている場合もあります。

アームの角度が上向きの場合、前述の分縮が起きやすくなり軽めの仕上がりになります。

伝統的なワームタブ方式が長らく主流でしたが、近年はシェル&チューブ方式が主流となっています。

冷却器・コンデンサー/condenser

水で覆われた冷却装置の中には、ワーム/Wormと呼ばれる螺旋状の銅製チューブがあり、気化した酒精分がこの蛇管を通ることで凝縮されてニューポットとなります。コンデンサーのなかった時代は木製の桶でこの作業を行っていました。

連続式蒸留器

一般的にグレーンウイスキーやアメリカやカナダで使用されている連続的に蒸留する装置を指します。

箱を積み重ねたような数十段の棚をもつ塔を使用し、1回の蒸留中に棚ごと精溜を繰り返し、アルコール濃度の高い液を連続的に溜出し、雑味が少なく風味の軽いクリアな酒質になります。単式蒸留に比べ効率的にスピリッツを生成すことが出来るのが特徴です。

連続式蒸留器の原型は、1826年にスコットランドのロバート・スタイン/Robert Steinが発明していますが、当時は工業用アルコールやジンの材料を得るために使用されていました。
1831年になると、アイルランドのイーニアス・カフェ/Aeneas Coffeyが香りや味を残せるように改良した、2塔からなるカフェ式スチルを発明しました。特許(パテント)をとったため、パテントスチルとも呼ばれています。

その後、様々な連続式蒸留器が生まれ、数塔を併立されるものもあり、現在では、コンティニュアス・スチルとも言われています。アメリカでカラム(塔式)・スチルと呼ばれているのもこの一種です。

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